<臭いは大好きですか? VOL2>
フタを開けると大きな魚の頭が現れた。
ハムユイ様である。
スペアリブと野菜を、野菜の水分だけで6時間蒸した「スペアリブと干し蝦のハムユイエビミソ蒸し」であった。
つまりハムユイとエビミソ蝦醤という、ダブル発酵くさいもので蒸しちゃったわけである。
食欲の奥底に眠っていた野生の食欲を焚きつける。
だが一方で、野菜だけが作り上げた煮汁は、地平線の彼方まで優しい。
そして大根が、自らの甘さを丸く丸くして、舌の上で崩れ、心をいたわる。
穏やかな慈愛と発酵の猛々しさが一つになって、体を包み込む。
どちらも自然というものだけが生んだ力である。
僕らはその力に撃たれ、唸り、黙りながらも一言だけ言う。
「ご飯が欲しい」と。
夜香港